2009年01月31日

"The Tales of Beedle the Bard "読了

 せっかくなので原書で読もうと、UK版を購入しました。読むつもりだったため、通常版にしました。昔話、民話などが好きなわたしとしては、なかなか魔法界でもっとも有名な物語ということで、とても興味深く思いました。

0747599874The Tales of Beedle the Bard (UK) Standard Edition
J. K. Rowling
Children's High Level Group 2008-12-04

by G-Tools


 ビードルは15世紀の魔法使いで多くは謎に包まれているようです。グリムの「白雪姫」やペローの「眠れる森の美女」が引き合いに出されていますが、グリムの19世紀、ペローの17世紀と比べてきわめて古いものだと感じられます。また、グリムやペローは民間伝承の物語をまとめて本にしていますが、ビードルの場合、まったく逆のように感じます。ロンが7巻上で「子どもの昔話はみんなビードルの物語のはずだろ?」(7巻上P194)とあったり、「オリジナルのルーン語で読んだ物語は結局母が語ってくれたものと殆ど同じだった」(UK版P55に書かれている「心臓に毛が生えた魔法戦士」のダンブルドアの感想)とあります。つまり、最初にビードルという人物によって物語が成立して、以降は口承のような形で伝えられていたようです。
 物語のプロットも、マグルの民話や昔話とはかなり違うように感じます。経済的に恵まれる幸福(それもかなりの裕福になる、王妃になる、王になるという性質のもの)はありません。民衆の願望を形にしたものというよりは、伝説的なものをビードルが採集して民話的にアレンジし、吟遊詩人というその職業柄、各地の魔法使いに伝えていったもののように感じられました。「三人の兄弟」のように、実際の出来事が民話的に伝えられているというところからも、その物語の性質がうかがえるような気がします。ルーン語で書かれたオリジナルというのも、何か意味があるのかもしれません。Wikipedia:ルーン文字によると、アングロサクソンルーン文字は5世紀ごろから使用され、9世紀ごろより廃れ、11世紀には使用されなくなったそうです。その後ラテン文字が使われるようになったようですが、魔法使いの世界ではルーン文字が引き続き使われていたと考えていいのでしょうか。最初に本として成立したのにもかかわらず、主に口承で伝えられたらしいのが特に興味深いところです。オリジナルの本はビードル自身の手によるもので、ある種「ネタ帳」的なものとして作り、後々は各地で語られていたのかも、などと想像してしまいます。
 物語も興味深いですが、その成立と伝わり方がまず気になりました。
posted by kmy at 20:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 物語周辺考察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
※コメント・TBについて
内容に関係のないコメント・TBは予告無く削除します。ご了承ください。
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。