2006年01月28日

OWLレベルの魔法薬

 5巻は何かといいことがないハリーです。そして読者にとってもハリーの気持ちになってみればハリーと一緒にいらつき、不安になり、ハリーを客観的に見てみるとハリーの言動にあきれたりいらついたりと、なんだか落ち着かない気分になります。そういう気分を本当に感じるというのは、それだけ物語が表面的ではなく、内面にまで作用する力をもっているということなのかもしれません。そんなハリー、自分自身を客観的に見るというのは難しかったと思いますが、スネイプ先生は実はそのあたりを考慮していたのかも?と感じるのが「安らぎの水薬」。

 この薬の効用は「不安を鎮め、動揺を和らげる」というのです。まさにハリーにぴったり!15歳という大人になりきらないが本人は大人扱いされたいという年齢のハリー。ハリーにとって好ましくない状況が続き、そしてひそかに悪化していく現実で、不安は増大しいたるところで癇癪を起こし、なかなか自分を抑えることができないでいます。さらに前年度末のセドリックの死の体験というのは非常に辛いものでした。
 さて一方のスネイプ先生は真実に気づいている者たちに吹く逆風のことをよくわかっていたと思います。そして、そんな現実で必要とされるのはそうした逆風にめげない強い心を持つことかもしれませんが、なかなか15歳には難しいかもしれません。まして多くの情報を知ることができない状態に置かれているとなると、そして今後の魔法省の干渉を考えると「不安を鎮め、動揺を和らげる」状況がやってくることを予期してこの薬をまず取り扱ったとしたら――?
 アンブリッジ教授(と魔法省)の考え方は学校は試験に通るためにあり、現実世界での対処法を教えるところではないというものでした。そのアンブリッジとは反対に、スネイプ先生は現実にも対処できるようなものを考慮しているのかもしれません。あまり表面には出しませんが。
 ハリーは魔法薬のレポートを書くのもあまり気が進まなかったようですが、この薬をきちんと作って服用していればよかったのではないでしょうか。スネイプ先生は実践と試験の両側面をわきまえていたのではないかと思います。ヴォルデモート復活という現実と試験という現実。ハリーたち15歳という学生にとってはその両方の現実のバランスというのは結構難しいものだと感じます。
 ダンブルドア先生がハリーとなかなか目を合わせない理由をスネイプ先生はきっと知っていたはずですし、ハグリッドも任務でいないことも承知していたと思います。スネイプ先生はハリーにとって本当に憎い相手ですが、本心をなかなか見せない先生は「安らぎの水薬」という助力を示したのかもしれません。そうだったら、いいなと少々希望的観測が入っていますけど。
 とはいえ、ハリーの作った薬はひどかったようです。学生時代に憎憎しく受けた授業でも、後になってよかった、と思える状況が来ることがあります。きっとハリーもスネイプ先生の授業は辛いかもしれませんが、それだけ実になって役立つ日が来るのではないでしょうか。
posted by kmy at 16:48| Comment(4) | TrackBack(1) | 呪文等 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
kmyさんこんにちは。
「安らぎの水薬」の考察、大変興味深く読ませていただきました。視点が全然違うのが面白いです。
スネイプ先生が助力を示したとの見方、素晴らしいです。そこまで考えませんでした。いつも都合のいいように解釈していながら、OWL対策授業としか捉えていなかった自分が恥ずかしいです。
スネイプ先生は基本的にどの場面でもそれと知られずにハリーを助けているのだと信じています。
とすると、やはりこの場面もそうに違いありませんね。
また、今まで授業で扱った薬の数々もそれなりに意味をもって選別していると思います。
スネイプ先生は深く考える人ですもの(妄想混じり)
でも、そんな親心もハリーや他の生徒達には伝わっていないのでしょう。いつか分かる時が来ますように。

OWL対策と捉えた記事をトラックバックさせていただきました。
Posted by 二尋 at 2006年01月30日 19:27
二尋さん、コメント&TBありがとうございます。
スネイプ先生の考えていることって、本心がわかりにくいですね。でも以前の死喰い人としての活動から、実践とは何かを心得ていると思います。
結局アンブリッジに対しても味方のように思わせて、ハリーに不利にならないようにしていましたし、ひそかにハリーのことを考えているような気がします。でも、ダンブルドアの命令?かも。スネイプ先生はハリーのことを好きということはないと思いますが、好き嫌いの感情は置いて、本物の現実に対処しているのでは、と思います。
(個人的には憎み合っているという姿はしっくりきます(笑))
Posted by kmy at 2006年01月31日 09:09
kmyさん、こんにちわ
 こちらのサイトではスネイプ先生人気高いようですね。確かに嫌味なやつだけど、どこか黒とはっきり言い切れないものがこの人にはあると思います。kmyさんがおっしゃったように彼は好きとか嫌いとかいう個人的な感情を脇にどけて、自分が何をすればいいのかを冷静に判断しているようですね。その辺がダンブルドアが彼を信頼して、騎士団に入れている一番の要素かもしれません。

 ただひとつ気になるのはヴォルデモード同様彼の子ども時代も幸せではなかったらしく、ヴォルデモードに感情的に同調しているような気がします。7話でもしかしたらその辺の事が明らかになるのでは・・と思ってます。この先もキーパーソンの一人になるのは間違いないでしょうね。
Posted by ぴぐもん at 2006年02月08日 17:22
ぴぐもんさん、こんにちは♪
スネイプ先生は人気が高いかもしれません。わたし自身がスネイプ先生には非常に興味を抱いています。

ヴォルデモートに感情的に同調と書かれていましたが、同感です。
死喰い人のメンバーもいくつかグループに分けられると思います。マルフォイ氏はどちらかというと権力を握るための手段のような感じがします。ピーターは恐怖からの服従でクラウチJr.やベラトリックスはヴォルデモートに心酔・崇拝していると思えます。スネイプ先生はこの心酔・崇拝グループとして入ったのではないかと思います。単に権力を握りたいとか、恐怖に支配されてという人物ではないと思います。
また、ある時点でダンブルドアとの決定的な出来事があり、そこで救われて死喰い人とは決別したのでは……などと考えていますが、真相はまだまだわかりません。
最後の最後まで目が離せない相手です。
Posted by kmy at 2006年02月09日 10:24
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OWL対策授業
Excerpt: ハリー5年生最初の魔法薬学の授業。授業の前に大事なお話です。6月に行われるOWLについて語る、スネイプ。「我輩は諸君にせいぜいOWL合格すれすれの「可」を期待する。さもなくば、我輩の……不興を被る」(...
Weblog: スネイプ先生に開心術!!
Tracked: 2006-01-30 19:27
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