2006年10月15日

鉤鼻、hooked nose, crooked nose

スネイプ先生の鼻は「鉤鼻」だそうですが、ブログ「水深3.6メートル『鉤鼻』」の記事から興味が沸きました。
 各登場人物の容姿に関して、似通っていると親戚関係にあるのではないか?とかんぐりたくなるのも事実です。ハリー・ポッターシリーズにおいてはキャラクターの髪の色、目の色、鼻の形などが詳細に描かれており、ダンブルドアとスネイプの鼻が「鉤鼻」と当てられている部分がありますが原書をあたってみると訳は同じ鉤鼻でももともとの英語は違うことがわかりました。この鼻の形について水深3.6メートルスネイプ先生に開心術(ともに二尋さんのブログ)で、考察されています。ここでの論点は、

1)"crooked nose"と"hooked nose"の形の違い
2)鷲鼻と鉤鼻は違うのか?

 ということになるかと思います。この点について調べてみました。

 まずダンブルドアの鼻の形は"crooked nose"と表現されています。翻訳1巻で一部「鉤鼻」と訳されているところもありますが、鉤ではなさそうな感じがします。"crooked"と"hooked"いう言葉をオックスフォード英英辞典で引いてみたところ、次のように出ています。

crooked : not in a straight line; bent or twisted

hooked : curved; shaped like a hook

 翻訳でダンブルドアは曲がった鼻、スネイプは鉤鼻と表現されています。この"crooked nose"に関して二尋さんが「斜鼻」と訳されると指摘されていますが、ダンブルドアの鼻は鼻筋に力点が置かれ、鼻筋が曲がっている、ゆがんでいるものとして捉えるとよいのではないかと思います。この「斜鼻」に関してわかりやすい写真がありました。(名古屋第二赤十字病院 曲がった鼻を直す)こちらの写真のように、鼻筋が曲がっているのが特徴的に感じられるのがダンブルドアのようです。「鉤」とは違うようですよね。
 対するスネイプの鉤鼻は鼻先に力点が置かれたもののようです。
Naficy Plastic Surgery & Rejuvenation Centerという美容整形関連のサイトによると、「上唇と鼻(鼻唇角度)の間の角度が、女性では90-105度、男性では90-95度の間にあるのものが理想的で、この角度が90度未満であるとき、鼻の頭が垂れているように見え、実際より年をとっているように見えるのです」と書かれています。スネイプ先生はこの鼻唇角度が90度以下で、鼻先が垂れ下がっているように見えるようです。そして老けて見られるかもしれません。とにかく鼻先に視点がいくのではないかと思います。

 鷲鼻と鉤鼻の違いですが、広辞苑を引いてみると「鷲鼻」の解説に「かぎばな」とあり、「鉤鼻」の解説には「わしばな」とあるので、日本語でのこの両者の違いはあいまいなのかもしれません。鷲鼻は鷲のくちばしのようにとがって曲がった鼻であり、鉤鼻は鉤のように曲がったというイメージの違いなのかもしれません。しかしながら、鷲鼻を"hump nose"として、鼻筋に段が入ったようなイメージで使われていることもあります(HANA info 鼻の手術)。鷲鼻という表現はどちらにもとれるので、鼻先を強調したいときは「鉤鼻」と言ったほうがよさそうです。


以下にシリーズ中に出てきたダンブルドアとスネイプの鼻に関する描写について、気づいた範囲で抜き出してあります。参考まで。

※ダンブルドアの描写
 高い鼻が途中で少なくとも二回は折れたように曲がっている。この人の名はアルバス・ダンブルドア。
(1巻P16)
... his nose was very long and crooked, as though it had broken at least twice. This man's name was Albus Dumbledore.

半月形のメガネをかけ、高い鼻は鉤鼻で、(略)
(1巻P154)
He wore half-moon glasses, had a long crooked nose and ...

校長先生に鉤鼻越しにジッと見下ろされると、
(2巻P118)
He stared down his very crooked nose at them,

ダンブルドアの折れ曲がった長い鼻の先が、
(2巻P211)
The tip of Dumbledore's long, crooked nose

ダンブルドアはハリーの手から日記をとり、長い折れ曲がった鼻の上から日記を見下ろし、焼け焦げ、ブヨブヨになったページを熱心に眺め回した。
(2巻P482)
Dumbledore took the diary from Harry and peered keenly down his long, crooked nose at its burnt and soggy pages.

鉤鼻が極端に折れ曲がっていた。
(3巻P121)
... and an extremely crooked nose.

あの曲がった鼻に日焼けクリームを塗りこんでいる姿を(略)
(4巻上P34)
... rubbing suntan lotion onto his long crooked nose.

ダンブルドアは高い折れ曲がった鼻から、小さく、賛成しかねるという音を出した。
(4巻下P359)
Dumbledore made a small noise of dissent through his long, crooked nose.

ダンブルドアはハリーの横まで来ると、折れ曲がった鼻の中ほどに掛けている半月メガネを通して、ファッジを見上げた。
(5巻上P224)
... as he drew level with Harry and looked up at Fudge through the half-moon spectacles that rested halfway down his very crooked nose.

ダンブルドアが、折れ曲がった鼻の中ほどにちょんと載った半月メガネの上から、
(5巻下P303)
peering at her over the half-moon spectacles perched halfway down his crooked nose.


折れ曲がった鼻に何月メガネを載せ、
(6巻P68)
alf-moon spectacles were perched on his crooked nose,

ダンブルドアは曲がった鼻の上からバーノン叔父さんを見下ろした。
(6巻P68)
Dumbledore, peering down his crooked nose at Uncle Vernon.

ハリーは手を伸ばし、半月メガネを曲がった鼻に掛けなおし、口から流れ出した一筋の血を自分の袖で拭った。
(6巻下P441)
Harry reached out, straightened the half-moon spectacles upon the crooked nose, and wiped a trickle of blood from the mouth with his own sleeve.


※スネイプの描写
バカバカしいターバンを巻いたクィレル先生は、ねっとりした黒髪、鉤鼻、土気色の顔をした先生と話していた。
(1巻P187)
Professor Quirrell, in his absurd turban, was talking to a teacher with greasy black hair, a hooked nose, and sallow skin.

突然、マルフォイの顔が鉤鼻のスネイプに変わり
(1巻P194)
-- then Malfoy turned into the hook-nosed teacher, Snape,

脂っこい黒い髪を肩まで伸ばし、痩せた体、土気色の顔に鉤鼻のその人は、
(2巻P114)
He was a thin man with sallow skin, a hooked nose and greasy, shoulder-length hair,

シニストラ先生の向こう隣は、土気色の顔、鉤鼻、べっとりした髪、「魔法薬学」のスネイプ――ハリーがホグワーツで一番嫌いな人物だ。
(4巻上P271)
On Professor Sinistra's other side was the sallow-faced, hook-nosed, greasy-haired Potions master, Snape - Harry's least favorite person at Hogwarts.

スネイプは鉤鼻の上からズイッとコリンを見下ろした。
(4巻上P465)
Snape stared down his hooked nose at Colin,

グループの真ん中に、脂っこい黒髪で鼻の目立つ魔法使いが見えた。ホグワーツでハリーが一番嫌いな、スネイプ先生だ。
(5巻上P127)
In the very centre of the group Harry saw the dark, greasy-haired head and prominent nose of his least favourite teacher at Hogwarts, Professor Snape.

鉤鼻にべっとりした黒い長髪のセブルス・スネイプが立っていた。
(6巻上P242)
... the uplit hokked nose and long, black, greasy hair of Severus Snape.

スネイプは暗い目を細くして、鉤鼻の上からハリーを見下ろした。
(6巻上P485)
Snape looked down his hooked nose at Harry, his black eyes narrowed.

この記事へのコメント
kmyさん、こんにちは。
"crooked nose"と"hooked nose"の形の違いと、鷲鼻と鉤鼻の違いについて、掘り下げてくださってありがとうございます!

ダンブルドアの"crooked nose"については、もともと深く考えていませんでしたが(汗)、正面から見た時に鼻筋が左右に曲がって見えるということだったのですね。これは全く予想外でした。横からみて曲がって見える"hump nose"をイメージしていました。では、少なくとも2回折れ曲がるというのは、ジグザグになっている、つまり稲妻型の鼻なのでしょうか!鉤鼻ではありませんね、全然。

鷲鼻と鉤鼻はやはり日本語では明確な区別はないのですね。
kmyさんが最後に締め括っていらっしゃる通り、私が想像する鷲鼻は"hump nose"の方で、鉤鼻は鼻先の垂れたものでした。今までのイメージが崩れなくてよかったです。
それにしても、はっきり90°未満という基準があって、すっきりしました。

あ、それから、記事中の「開心術!!」のアドレスが違うようで、飛べませんでした。
Posted by 二尋 at 2006年10月15日 20:30
二尋さん、「水深3.6メートル」の記事に触発されて、気になりだして調べてしまいました。本文中の記述を拾うのがやや面倒だったのですが、ダンブルドアの「鉤鼻疑惑」は解けたような気がします(笑)メガネをひっかけるのが難しいような、そういうイメージを改めて持ちました。稲妻型といわれれば、なんだかハリーを連想させますね。
スネイプ先生のほうはとにかく鼻先が目立つのでしょうね。シリウスたちにも鼻がらみで馬鹿にされていますし(鼻を答案にくっつけてたとか。くっつきそうなイメージなのでしょうね)。

URLミス、失礼しました! 英語のコピーの際にカーソルがなぜかタグに入ってcrookedの一部が入ってしまっていました(大汗)
正しいURLに変更しました。確認作業がいつも甘くてすみません。
Posted by kmy at 2006年10月16日 09:14
初めまして。いつも楽しく読ませていただいております。本当にこの物語というのはなかなかに、深いんですね。ダンブルドアの生死についてやスネイプ先生の本心について、等考えさせられました。
そして鉤鼻の話ではないのですが、六巻を読み終えて思ったことがあります。
スネイプ先生は果たして「みぞの鏡」を覗いたのならば、いったいそこには何が映っているのでしょうか?あるいは「まね妖怪」は一体どんな姿を現すのでしょうか…?ということです。
 長文すいませんでした。
Posted by タタラ at 2006年11月23日 19:40
タタラさん、初めまして! コメントありがとうございます。
ダンブルドアの思惑と、スネイプの本心、どの巻を読んでいても、うーん?と唸らせるような深みを感じます。
スネイプのまね妖怪は何か意味深いものらしいですね。作者のインタビューで「スネイプのまね妖怪は今話せない」というようなことを言っていたと思います。本当に恐れているものは何なのでしょうか。ヴォルデモートではないでしょうし。そしてスネイプが心から願っている望みはどんなことなのでしょうね。スネイプが本心をなかなか見せてくれないからこそ、読者としても興味がわきます。
タタラさんのコメントを読みながら、スネイプの望み、恐怖、何か今後の展開に関係ある重要な要素二点は明らかになるのかどうか、ますます気になりました。
Posted by kmy at 2006年11月25日 08:58
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