2005年09月07日

ワンカのお菓子、魔法のお菓子

 ハリー・ポッターの第1巻は特に様々な物語を想起させます。惨めな境遇にいた男の子が「選ばれた」というストーリーと奇抜で魅惑的なお菓子という点で『チョコレート工場の秘密』(ロアルド・ダール作)を思い起こしませんか? (『チョコレート工場の秘密』のネタばれがあります。未読の方はご注意!)
 ワンカのチョコレート工場のお菓子とハニーデュークスのお菓子、どっちも気になります。こういうおもしろくて妙な機能の付随したお菓子って、純粋に子ども心をくすぐります。大人になってしまうと「素材」とか「味の複雑さ」「こだわりの製法」とかそういうものがお菓子として正しい姿、と思うのですが、子ども時代にお菓子に求めたのは「おいしさ」と「たのしさ」という二点だったと思います。その二点を的確に提供しているのが「ウィリー・ワンカのチョコレート工場」と「ハニーデュークス」だと思います。どちらも中心的な厚い支持を獲得しているのはチョコレートです。「ワンカのとびきり特製チョコレート」と「魔法使いカードのおまけつきカエルチョコレート」が一番人気です。いつの時代もやっぱりチョコレート!なのでしょうか。大人になってもチョコレートというのは嫌いにならないものです。だからこそ、永遠の定番として愛されているのでしょうね。そしてどちらにも気になる楽しいお菓子がどんどん登場します。似たような雰囲気を持つものをちょっと比較してみましょう。

■ハニーデュークス       ■チョコレート工場
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カエルチョコレート      ワンカのとびきり特製チョコレート
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爆発ボンボン         攻撃用爆発キャンディ
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浮上炭酸キャンディ      人間ふきあげ飲料
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綿飴羽ペン          なめられる糖衣鉛筆
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ヒキガエル型ペパーミント   飲み込むと、おなかの中で愉快に
               クネクネする、クネクネお菓子
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歯磨き糸楊枝ミント      虫歯の穴つめ用キャラメル
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 ダールとローリングについての比較は諸所で語られていますが、決してダールの模倣だとは思いません。「魔法的」な雰囲気と独特の特徴があります。ダールのお菓子はどちらかというとその面白い機能をもった空想的なお菓子がメインです。食べることによって生じる効果を楽しむもの、日常にあるものをお菓子化したものを主にして考えられているように感じます(例:虹のドロップ、毛はえキャンディ、夜間ベット用発光キャンディ、糖衣鉛筆、なめられる壁紙など)。対するハリー・ポッターのお菓子は魔法使い風ということでしょうか、マグルには好まれない生物形態を好んでお菓子にする傾向があると思います(例:カエルチョコレート、ナメクジゼリー、ブルブルマウス、ゴキブリ・ゴソゴソ豆板など)。ワンカのチョコレート工場にはこうした「害虫系形態」お菓子はないようです。そして、味に関してもワンカの工場は「おいしさ」が重んじられています。味の変化などを楽しむことはできますが、決してまずいものはないようなのです。これに対してハリー・ポッターのお菓子は「まずい」ものが存在します。いわずと知れた百味ビーンズの鼻くそ味、ゲロ味はありえない、いや、あってほしくない味ですよね。そのほかにも血の味がするペロペロ・キャンディなど「異常な味」コーナーがハニーデュークスにはあります。ハリーたちとともにお菓子を買うときには注意が必要です。
 さて、実際に買うのを迷っておられる方のために選び方をまとめてみましょう。おいしくて面白いお菓子を買いたいときは迷わず「ワンカのお菓子」をオススメします。奇妙でまずいお菓子もあわせて買いたいときは「ハニーデュークス」に出かけてみましょう。チョコレートに関しては悩むところですが、寒くておなかがぺこぺこで死にそうな気分のときは「ワンカのとびきり特製チョコレート」を、憂鬱で楽しいことがもう何も起こらないんじゃないかと思う気分のときには「ハニーデュークスの最高級チョコレート」ということでいかがでしょうか。味はどちらもご満足いただけると思います。

オンライン書店ビーケーワン:チョコレート工場の秘密
ロアルド・ダール著  田村 隆一訳
ジョセフ・シンデルマン絵
評論社 (1988.7)

記事中の単語はこちらの版に従っています。

オンライン書店ビーケーワン:ロアルド・ダールコレクション 2
ロアルド・ダール著 柳瀬 尚紀訳
クェンティン・ブレイク絵
¥1,260 評論社 (2005/04/30)

こちらの新訳はまだ読んでいないんです。訳語が違うのでわかりにくいところがありますが、ご了承くださいませ。
posted by kmy at 15:20| Comment(2) | TrackBack(0) | 料理・お菓子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
本当にどっちもみりょくてきですね!
疑問ですけど綿飴羽ペン、じゃなくて
砂糖菓子羽ペンじゃありませんでしたか?
Posted by らっきー at 2005年09月14日 18:58
らっきーさん、ご指摘ありがとうございます。
思い違いをしていましたが、砂糖羽ペン(sugar quills)が第5章にでてきていましたね。同じものかと思っていましたが、確認してみると、第10章で出てくるのは綿飴羽ペン(sugar-spun quills)となっていて原書でも単語が違うので二種類あると思っておいたほうがよいかもしれませんね。砂糖羽ペンは羽の部分も固い砂糖菓子(落雁みたい?日本的イメージですみません)で、綿飴羽ペンの版の部分はふわふわしているようなイメージです。
コメントありがとうございました。
Posted by kmy at 2005年09月15日 10:07
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