2005年10月18日

4巻再読 スネイプ先生とハーマイオニー

 4巻、5巻の読み込みは甘いなぁと思っているこのごろ。ということで4巻の再読を始めました。気になることや感想などを書いていきます。
 
 第18章「杖調べ」での場面。ハリーの鼻呪いとマルフォイの歯呪いがぶつかり合い、ゴイルとハーマイオニーに命中した場面でのスネイプ先生の態度、憎たらしいですよね。この場面を読みながらなんてやつだ!と思ってしまうわけです。スネイプ先生のことは1巻目からいろいろ研究したり考察したりしてみたりして、「実はスネイプ先生というのはただの意地悪なのではない。影の任務があり、本心を隠している」と思っているのですが、毎巻ここはヒドイというところがあります。4巻でのこの場面がそうですね。(まぁ、この場面があるからこそ、最後の腕のシーン、謎の任務のシーンへの転換が鮮やかに素敵に感じるのかもしれないですけど)

 さて、同じように呪いが当たったゴイルとハーマイオニー。どちらもひどい姿に変わり果てています。しかし、二人への対応は天と地ほどの差!

「医務室へ。ゴイル」スネイプが落ち着き払って言った。
(中略)
 スネイプはハーマイオニーに冷たい目を向けていった。
「いつもと変わりない」
 ハーマイオニーは泣き声を漏らした。そして目に涙をいっぱい浮かべ、くるりと背を向けて走り出した。廊下のむこう端まで駆け抜け、ハーマイオニーは姿を消した。
 ハリーとロンが同時にスネイプに向かって叫んだ。
(中略)
「さよう」スネイプが最高の猫撫で声で言った。
「グリフィンドール、五十点減点。ポッターとウィーズリーはそれぞれ居残り罰だ。(後略)」

 4巻上 P463〜P464


 この場面、単にハーマイオニーへ意識が向けられていただけだとは思えません。やっぱりスネイプ先生はハリーのことをいろいろ計算しつくしての行動ではないかと感じてしまいました。ハーマイオニーに対しての意識は少々生意気な「ハリーの親友」としての位置づけ。しかしながら、魔法薬の成績が優れていることも承知だと思います。まず、ゴイルを医務室へと向けたその意識はハリーが当てた呪いであるということが第一だったと思います。ハリーの呪いのせいで度いるは大変な被害を受けたという意識を無理に植え付け、さらにスリザリンは特別扱いであるということを寮生の前で示しているのはないでしょうか。スリザリン生からの尊敬と信頼を持ち続けることはスネイプ先生にとって重要なことなのです。あくまでスリザリンは優先されるべき自分の寮だという演出を効果的に行なっているのです(単にスリザリンが好きだというわけではなく、自分がどの立場にいるかということを常に認識し演出しているのではないか、と思っています)。またゴイルは決して成績がよいとはいえません。ひどい状態に陥っているものを自分で治すことは不可能でしょう。そのままにしておくよりは医務室で適切な手当てを受けるほうがよいという冷静な判断でもあります。
 対するハーマイオニー。そもそもハリーが呪いをかけようとしたことが悪いという意識なのではないかと思います。だから、まずマルフォイ(とスリザリン)に呪いをかけるとは何事! グリフィンドール生は呪いを受けて当然という建前(としておきます。本心は謎が多そうなので)を示す必要があります。他の誰よりも呪いに詳しかったく学生時代のエピソードを思い起こしますが、スネイプ先生の中で「歯呪い」はたいした呪いではないという認識なのかもしれません。ましてハーマイオニーです。呪文の知識も他の生徒より優れていることはきっと心の底では認めているのでしょう。ハーマイオニーにとってはたいした呪いではないのかもしれない。だからこそ、適当にあしらったのかもしれない。それにスネイプ先生の中ではハーマイオニーが傷つくこと=ハリーもダメージを受けることとしてひそかな喜びを感じながら「冷たい目」を向けていたのかも、などとも考えてしまいます。ハーマイオニーを冷たくあしらうことによってハリーの反応を楽しみ、ハリーを減点に持っていこうと考えていたのかも(ロンはまとめてついでにというところでしょう)しれません。
 
 ハーマイオニーが「いつもと変わりない」なんて、スネイプ先生、実は思っていなかったと思います。結果的に見せしめのようになってしまいましたが、医務室に行くであろうことは予想し黙認していたのでしょう。だから、ハリーには遅れただけで減点(3巻P221)するほどの先生が、先生の目の前で授業をボイコットしたハーマイオニーには減点なしで医務室へ行かせたのです。スネイプ先生流の思いやりなのかもしれません。
 「ハーマイオニーを攻撃してハリーをやり込める、隙あらば減点」と考えていたスネイプ先生の計略が思い通りになったからこそ、「最高の猫撫で声」で減点を宣言したのではないでしょうか。その瞬間を待っていたぞ、ポッター、と心でほくそえんでいるようです。見事はまったな、という瞬間がスネイプ先生の側からみたこの場面なのかもしれません。スネイプ先生の狙いはあくまで「ハリー・ポッター」だと思えてきます。先生は「どんな手段を使っても、目的遂げる狡猾さ」が資質なのかもしれませんね。

この場面については、ブログ「スネイプ先生に開心術!!」にて「いつもと変わりない」という記事で二尋さんが考察されています。触発されて記事を書いてみました。
この記事へのコメント
kmyさん、こんにちは。
私の拙い考察(と言っていいのかどうか)とは大違いの深い考察に脱帽です。
もう一度私も考え直してみました。

スネイプ先生の狙いはあくまで「ハリー・ポッター」だということに同感です。
私はあくまで「加害者はハリーであるとしたかった」のではないかと考えました。
ハリーとマルフォイの諍いを遠巻きに見ていた生徒達は皆目撃者です。そして被害者が二人。ここでハーマイオニーの被害を認めれば、マルフォイも罰しなければなりません。なのでハーマイオニーは被害を受けていないという意味で「いつもと変わりがない」と言ったのではないかと思います。
そもそも始めにマルフォイに説明させた時点で、ハリーのみを減点する方向に持っていこうと考えていたと思います。目撃者の前でハリーだけを責めるにはマルフォイの呪いは見て見ぬ振りをするしかないかと思うのです。
結果的にハーマイオニーは傷ついてしまいましたが、そこを狙ってはいないと思います。
ただ、マルフォイを庇うつもりで言った言葉がハーマイオニーを傷つけてしまい、その結果ハリーが先生を罵ったことで、減点するチャンスができたのは大喜びだったに違いないと思います。呪いをかけたことに対してではなく、先生を罵ったことに対して減点することで、さらにマルフォイの無関係を強調できたのですから。

結局何が言いたいかというと、とにかくハリーだけを攻撃しようとした結果ハーマイオニーも傷つけてしまったのではないか、という考えを述べたかったんです。ちょっとわかりにくいですね。
この場面、やっぱりスネイプ先生は理不尽で無理矢理減点しているように思えますが、ハーマイオニーを利用してハリーにダメージを与えようとするほど酷い人だとは思えないので。(あまりにスネイプ先生を好きなため、そのように考えることが困難になっているのだと思われます。偏っていますね)

私の中でも色々な考えが浮かび、今までまとまらなかったのですが、おかげで今の自分の考えをまとめることができました。ありがとうございました。
この部分に限らず、最終巻まで読んでも真意がわからないことは多そうですね。自分であれこれ想像することもひとの意見を聞いて考えなおすことも楽しい作業です。
今後もkmyさんの深い考察、楽しみにしています。
Posted by 二尋 at 2005年10月19日 23:51
二尋さんの考察に触発され、スネイプ先生について考えてみました。
マルフォイをとがめないために、「いつもと変わりない」と言ったのではないか、という二尋さんの考えには頷かされました。ハリーのことは罰したいけれども、マルフォイは同罪にはしないやり方をスネイプ先生流で行なっているという感じがします。なかなか「狡猾」なんですね。とっさにこういうことに頭が回るのですから。

スネイプ先生の本心は謎です。ハリーへの憎しみ、ダンブルドアへの忠誠、ヴォルデモートへの忠誠心の演技というのがわたしの考えているスネイプ先生像で、その他の人に対しては演技なのか、本心なのかわかりにくいところがあります。

マルフォイへの態度は一貫していますし、二尋さんのコメントを読んで、ハーマイオニーそのものを攻撃したのではないという態度(単に結果的に生じただけ)でちょっと先生を見直してしまいました。
二尋さん、ありがとうございました♪
Posted by kmy at 2005年10月20日 09:19
 呪いに関しては、ハリーもマルフォイも同罪だから、ハリーだけ減点する訳にいかないので、誰も減点をしなかった。
 ただし、マルフォイは教師に対する侮辱をしていないので、ハリー(ついでにロン)は減点だったのでしょうね。
 結果から後ろ向きに考えるとハーマイオニーが前歯を見せようとしなかったのも納得がいきますね。同罪ならグリフィンドールだけ減点される訳ないから、見せる必要ありますまい。ロン君、きみはわかっていない。まあ、そこがロンのいいところなんだが・・・
Posted by たこぽん at 2006年01月04日 20:04
たこぽんさん、コメントありがとうございます!
マルフォイも同罪と認識していたなら、なかなかスネイプ先生のこと、見直してしまいます。
(とはいえ、いろいろ計算しつくしてそうですけど)
ロンのいいところ、そういう行動についでちゃったロンは憎めないですね。女心はわかっていなかったけど。
Posted by kmy at 2006年01月06日 10:53
kmyさんの記事、読みました。
僕もスネイプがハリーを狙ったという事に同感です。
でも、ハーマイオニーが「穢れた血」だから、スネイプは「いつもと変りない」と言ったのではないかと、僕は思いました。
でも、もし、この通りだったら、スネイプはムカツク奴です。
僕が思った事は、これだけです。これからも頑張って面白い記事を書き続けてください。
Posted by Ryo,S,O at 2006年05月27日 22:34
Ryo,S,Oさん、コメントありがとうございます。
スネイプがハーマイオニーに対してやっぱり差別的な感情を持っているのでしょうか。6巻との関連でスネイプのことを考えるといろいろと疑問が出てきますが……。とにかく、ハリーのことはジェームズ時代からずっと尾を引いていると思えます)
感想ありがとうございます。
今後も6巻と5巻関連の記事をUPする予定ですので、どうぞよろしくお願いします。
Posted by kmy at 2006年05月29日 12:41
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